空について

　テーマの説明今回の作品「空」の成り立ち 。2008 年のある日捨て られていた陶の破片を眺めていた時でした。眺めているなかで、器物が壊れ、 用途を剥奪された陶片は何ものにも属さない存在としてそこにありました。 そこでその破片をいくつか取り出し形を浮き上がらせるために表面を金泊 で覆ってみました。金箔で覆うことによって純粋に形のみが抽出できると考 えたからです。ところが金箔で覆った陶の表面からは形以上に材質感が強く 出てきました。そこで次に形を消すことによって材質感はどのように変化するのかを試みました。陶の破片をハンマーで砕き粉状にしていきました。塊 から粒状になり、陶の形は変化していくものの、物質自体が変化しないことに気づきました。陶のプロセ ス、つまり土から陶に化学変化した「陶」という物質は、砕かれた状態でな おそこに存在し続けていました。 ここから陶の粒子作品である空の概念が誕生しました。